性感染症の検査を受けて「陰性」と分かれば、まずは安心する人が多いでしょう。
一方で、
「陰性だったけれど、本当に感染していないの?」
「性行為のすぐ後に検査したけれど大丈夫?」
「もう一度検査したほうがいい?」
と不安が残ることもあります。
性感染症検査の「陰性」は重要な結果ですが、陰性という文字だけを見て判断するのではなく、いつ検査したのか、何を検査したのか、どの部位を検査したのかまで含めて考える必要があります。
この記事では、性感染症検査で陰性だったときに確認したいポイントと、再検査や医療機関への相談を考えたいケースを整理します。
性感染症検査の「陰性」とは
検査結果が陰性だった場合、基本的にはその検査で対象としている感染症について、検体から感染を示すものが検出されなかったことを意味します。
ただし、ここで重要なのは、
「陰性=あらゆる性感染症に感染していない」
という意味ではないことです。
性感染症にはクラミジア、淋菌、梅毒、HIVなどさまざまな種類があり、検査方法も同じではありません。
厚生労働省によると、性感染症の検査には血液検査、尿検査、おりものなどを採取する検査などがあり、検査方法は感染症や症状によって異なります。
そのため、陰性という結果を見るときには「何の検査が陰性だったのか」を確認することが第一歩です。
陰性でも確認しておきたい3つのポイント
1.感染の可能性があった時期と検査日
特に注意したいのが、感染の可能性があった出来事から検査までの期間です。
感染していても、検査で確認できる状態になるまでには時間がかかる場合があります。
このため、感染の可能性があった直後に検査すると、感染していても陰性となる可能性があります。
こうした検査でまだ感染を確認できない期間は「ウインドウ期」などと呼ばれます。
たとえばHIVでは、感染初期には血液検査で陰性となることがあり、厚生労働省のHIV検査・相談マップでもウインドウ期について説明されています。
性感染症によって検査方法や適切な検査時期は異なるため、「性行為から○日経てばすべての性感染症を正確に検査できる」と一律に考えることはできません。
検査時期について詳しくは、「性感染症検査はいつから受けられる?感染後すぐでは分からない理由と検査時期」で整理しています。

2.自分が心配している感染症が検査項目に入っていたか
性感染症検査には、複数の感染症をまとめて調べるものもあれば、特定の感染症だけを調べるものもあります。
たとえばクラミジアの検査が陰性だったとしても、それだけで梅毒やHIVについてまで陰性と判断できるわけではありません。
郵送検査を利用した場合も同様です。
検査結果を見るときは「陰性」という結果だけでなく、検査した項目そのものを確認してください。
何を調べた検査なのか分からない場合は、検査サービスの検査項目を改めて確認しましょう。
自宅で行う郵送検査の仕組みや病院での検査との違いについては、「性感染症検査は自宅でできる?郵送検査の仕組み・検査項目と病院との違い」で詳しく解説しています。

3.感染する可能性のある部位を検査できていたか
もう一つ見落としやすいのが「どこを検査したのか」です。
性感染症は性器だけに感染するとは限りません。
性的接触の方法によっては、のどなどに感染することもあります。
厚生労働省も、クラミジアについて性器だけでなく、のどに感染する場合があると説明しています。
たとえば尿を使った検査で性器の感染について調べても、それだけで別の部位の感染まで確認できるとは限りません。
感染機会や性的接触の内容によって必要な検査が変わる可能性があるため、不安がある場合は医療機関に相談することも選択肢です。
検査が早すぎた場合は「陰性」だけで判断しない
「心配だったので翌日すぐに検査した」
という場合には注意が必要です。
感染から検査までの期間が短いと、感染していても検査で確認できない可能性があります。
これは検査そのものが役に立たないという意味ではありません。
大切なのは、検査を受けた時期を含めて結果を解釈することです。
実際にHIV検査では、感染初期に検査で感染が分からないウインドウ期が存在します。また、梅毒についても感染初期には血液検査の結果だけでは判断できない場合があります。
したがって、
「検査したから大丈夫」
ではなく、
「いつの感染機会について、いつ検査した結果なのか」
まで確認することが重要です。
陰性だったのに症状がある場合はどうする?
検査が陰性でも、症状が続いている場合は「陰性だったから放置してよい」とは限りません。
性感染症では、排尿時の痛み、分泌物の変化、性器周辺の痛みや違和感、皮膚や粘膜の異常などがみられることがあります。
一方で、似た症状を起こす原因が性感染症とは限りません。
つまり、症状がある場合に必要なのは、自分で「性感染症ではない」と判断することではなく、必要に応じて医療機関で診察を受けることです。
郵送検査は自宅で検査できる便利な方法ですが、医師による診察そのものを行うものではありません。
症状が強い、続いている、悪化している場合などは、郵送検査を繰り返すだけではなく医療機関への相談を検討してください。
陰性だったら再検査したほうがいい?
すべての人が陰性後に再検査しなければならないわけではありません。
再検査を考えるかどうかは、
- 感染の可能性があった時期
- 最初に検査した時期
- 検査した感染症
- 使用した検査方法
- 検査した部位
- その後に新たな感染機会があったか
- 症状があるか
などによって変わります。
特に、感染の可能性があった直後に検査した場合には、検査時期について改めて確認することが重要です。
また、検査後に別の感染機会があった場合、以前の陰性結果はその後の感染可能性について示すものではありません。
「自分の場合は再検査が必要なのか」を判断しにくい場合は、医療機関や検査機関に相談してください。
HIVでは陰性確認の時期にも注意が必要
HIVについては、検査時期と陰性結果の関係が公的情報でも明確に説明されています。
厚生労働省のHIV検査・相談マップでは、感染初期には血液検査で陰性となる可能性があると説明しています。
また、抗体検査については感染機会から約1か月後の検査でも意味はあるものの、きちんと陰性を確認するためには3か月を過ぎてから再度検査することを案内しています。
ただし、HIV検査には複数の検査方法があります。
したがって「HIVなら必ず○日後」と自己判断するのではなく、自分が受ける検査の種類と、その検査機関が案内している検査時期を確認してください。
梅毒も感染初期には陰性となる場合がある
梅毒では、一般的に医師による診察と血液による抗体検査などを組み合わせて判断します。
厚生労働省の「梅毒に関するQ&A」でも、感染の可能性がある時期などを医師に伝えることが重要とされています。
さらに、厚生労働省の保健所等におけるHIV検査・相談のガイドラインでは、梅毒の血清検査が陰性であっても「未感染」だけではなく「感染初期」などの可能性が示されています。
つまり梅毒についても、陰性という結果だけを切り離して判断するのではなく、感染機会や検査時期などと合わせて考える必要があります。
郵送検査を選ぶときは「検査項目」まで確認する
これから郵送検査を利用する場合は、価格だけで決めないことも大切です。
確認したいのは、
「自分が調べたい感染症が検査項目に含まれているか」
です。
複数項目のセットであっても、含まれる感染症は商品によって異なります。
また、採取する検体や検査できる部位、結果の確認方法、陽性だった場合の案内なども確認しておきたいポイントです。
これから郵送検査を検討する場合は、こうした条件を次の比較記事で見比べてみましょう。自分が確認したい感染症や部位に合う検査か、選ぶ前に確認しておきたいですね。

「陰性だから絶対大丈夫」ではなく、検査の条件を確認する
性感染症検査で陰性だった場合、必要以上に不安になる必要はありません。
一方で、陰性という結果だけを見て、
「すべての性感染症に感染していない」
「感染の可能性は完全にゼロ」
「どんな時期に検査しても結果は同じ」
と考えるのも適切ではありません。
確認したいのは、
「何を」
「いつ」
「どの方法・部位で」
検査したのかです。
感染の可能性があった直後に検査した場合や、検査項目に心配している感染症が含まれていなかった場合などは、検査機関や医療機関に相談し、必要に応じて適切な時期・方法での検査を検討してください。
症状がある場合は、陰性結果だけを理由に受診を控えないことも大切です。
そして、これから自宅で検査を受けたい場合は、検査項目や検査方法を確認したうえで、自分の目的に合った検査を選びましょう。
参考情報
厚生労働省「性感染症」
厚生労働省「性器クラミジア感染症」
厚生労働省「梅毒に関するQ&A」
厚生労働省 HIV検査・相談マップ「HIV検査まめ知識」
厚生労働省 HIV検査・相談マップ「HIV検査 Q&A」
厚生労働省「保健所等におけるHIV検査・相談のガイドライン 第5版」
