性交時の乾燥や摩擦が気になって潤滑剤を探していると、「水性」「シリコン系」という表示を目にすることがあります。
でも、初めて選ぶときには、
「何が違うの?」
「乾燥しやすいならどちらがいい?」
「コンドームと一緒に使える?」
「肌への刺激は違う?」
など、意外と分からないことが多いものです。
潤滑剤は、単純に「よく滑るもの」を選べばいいわけではありません。使う場面や一緒に使う製品、自分の身体との相性まで考えて選ぶことが大切です。
この記事では、水性とシリコン系の潤滑剤について、それぞれの特徴と選ぶときに確認したいポイントを整理します。
水性とシリコン系の大きな違い
水性とシリコン系の違いは、潤滑剤のベースとなる成分です。
水性は水をベースにしたタイプ、シリコン系はシリコン成分をベースにしたタイプです。
一般的には、水性は扱いやすく洗い流しやすい製品が多く、シリコン系は水性と比べて潤滑性が持続しやすい傾向があります。
ただし、同じ「水性」「シリコン系」でも製品ごとに成分や粘度、使用感は異なります。
「水性だから必ずこう」「シリコン系なら必ずこう」と決めつけず、最終的には各製品の表示や使用方法を確認してください。
水性潤滑剤の特徴
水性潤滑剤は、水をベースに作られているタイプです。
性交時の摩擦を減らす目的で広く使われています。
洗い流しやすい製品が多い
水性タイプは、水で洗い流しやすい製品が多いのが特徴です。
身体や手についた後の処理がしやすいため、初めて潤滑剤を使う人にとっても取り入れやすいタイプといえます。
ただし、製品によって粘度や使用感にはかなり差があります。
使用中に乾きを感じることがある
水分を含むため、使用時間や環境によっては途中で乾きを感じることがあります。
乾いて摩擦を感じるようになった場合は、痛みを我慢して続けるのではなく、使用している製品の説明に従って必要に応じて追加します。
「最初に塗ったから最後まで十分」とは限りません。
コンドームを使用する場合にも選択肢になる
ラテックス製コンドームについて、CDCやNHSは水性またはシリコン系の潤滑剤を使用し、油性のものを避けるよう案内しています。油性成分はラテックスを弱め、破損につながる可能性があるためです。
ただし、コンドームにはラテックス以外の素材もあります。
コンドームと一緒に使う場合は、「水性だから大丈夫」「シリコン系だから大丈夫」と種類だけで判断せず、潤滑剤とコンドーム双方の商品表示を確認することが大切です。
コンドームと潤滑剤の組み合わせについては「コンドームと潤滑剤の相性は?水性・シリコン系・油性の違いと選び方」で詳しく整理しています。

シリコン系潤滑剤の特徴
シリコン系潤滑剤は、シリコン成分をベースにしたタイプです。
潤滑性が持続しやすい傾向がある
シリコン系は一般に水性より乾きにくく、潤滑性が持続しやすい傾向があります。
ACOG(米国産科婦人科学会)の一般向け解説でも、水性潤滑剤はシリコン系より持続時間が短いと説明されています。
性交の途中で何度も乾燥を感じる人にとっては、比較するときの一つのポイントになります。
ただし、「シリコン系なら必ず長時間大丈夫」という意味ではありません。使用量や製品、使用環境によって使用感は変わります。
洗い落としやすさは製品によって異なる
シリコン系は水性とは性質が異なるため、使用後の落とし方も確認しておきたいポイントです。
商品パッケージやメーカーが指定している方法に従ってケアしてください。
プレジャー用品との併用は特に確認する
潤滑剤とプレジャー用品を一緒に使用する場合は、素材との適合性を確認します。
「シリコン系だから、すべてのプレジャー用品に使える」とは限りません。
潤滑剤側だけでなく、使用するプレジャー用品のメーカーが示している注意事項も確認してください。
水性とシリコン系、結局どちらを選べばいい?
一律に「こちらの方が優れている」と決める必要はありません。
重要なのは、自分が何を優先するかです。
たとえば、
- 初めて潤滑剤を使う
- 使用後の扱いやすさを重視したい
- コンドームとの併用を考えている
- 途中で乾燥しやすい
- 長めの潤滑性を求めている
- プレジャー用品と一緒に使いたい
といった条件によって、確認すべきポイントが変わります。
特にコンドームやプレジャー用品を併用する場合は、感触だけで選ばず、製品同士の適合性を確認することが重要です。
「油性」は水性・シリコン系と同じ感覚で選ばない
潤滑に使われるものには油性の製品もありますが、ここは注意が必要です。
特にラテックス製コンドームを使用する場合、ワセリン、ボディローション、マッサージオイルなどの油性製品は代用品として使用しないでください。
CDCは、油性潤滑剤がラテックスを弱める可能性があるとして、水性またはシリコン系の潤滑剤を使用するよう案内しています。
家庭にあるオイルやクリームを「滑りそうだから」という理由だけで潤滑剤代わりに使うのも避けた方がよいでしょう。
膣用ではないクリームやローションについて、NHSも刺激や感染につながる可能性があるとして使用しないよう案内しています。
40代・50代で乾燥するなら「種類選び」だけで考えない
40代・50代になると、以前は問題なかったのに性交時に乾燥や痛みを感じるようになることがあります。
更年期前後ではエストロゲンの低下に伴い、膣の組織が薄くなったり、乾燥しやすくなったり、弾力性が低下したりすることがあります。こうした変化はGSM(閉経関連泌尿生殖器症候群)の症状として現れることもあります。
この場合、「水性からシリコン系に変えればすべて解決する」とは限りません。
性交時の摩擦を減らす潤滑剤だけでなく、日常的な乾燥に対して膣保湿剤が選択肢になることもあります。ACOGも、膣保湿剤と潤滑剤を更年期の膣乾燥や性交痛に利用できるとしています。
潤滑剤を使っても痛いなら我慢しない
潤滑剤を十分に使っても性交痛が続く場合、「もっと滑る商品を探せばいい」と考え続けないことも重要です。
性交痛には乾燥以外の原因もあります。
また、潤滑剤そのものが合わず、刺激やかゆみ、ヒリヒリ感などが出ることもあります。ACOGも、刺激物への反応が外陰部のかゆみ、灼熱感、痛みにつながる場合があると説明しています。
痛みが続く、日常生活にも乾燥が影響する、おりものに普段と違う変化がある、性交後や月経以外、閉経後に出血するといった場合は、婦人科へ相談することを検討してください。NHSもこうした症状を受診の目安として挙げています。
水性・シリコン系は「使う条件」で選ぶ
水性とシリコン系には、それぞれ異なる特徴があります。
水性は扱いやすい製品が多い一方、途中で乾燥を感じることがあります。シリコン系は潤滑性が持続しやすい傾向がありますが、使用する製品やプレジャー用品との適合性を確認する必要があります。
大切なのは「どちらが一番いいか」ではなく、「何と一緒に使うのか」「どのくらい乾燥が気になるのか」「どんな使用感を求めるのか」を整理して選ぶことです。
性交時の乾燥を我慢する必要はありません。一方で、潤滑剤だけで痛みが改善しない場合には、商品選びだけの問題と決めつけないことも大切です。

さらに、実際の商品を選ぶ段階では、水性・シリコン系という分類だけでなく、使用目的や成分、コンドームやプレジャー用品との適合性などを商品ごとに確認する必要があります。
40代・50代女性向けの潤滑剤について、具体的な商品を比較する記事もあわせて紹介します。

